モーツアルト ピアノ協奏曲 第23番

モーツアルトの楽曲はピアノを習っていた子供の頃から大好きでした。
モーツアルトならではの、華やかで、優美で、軽やかな旋律は、大人の今では、午後のひとときにお茶を飲みながらまったりと過ごす時、仕事に集中するためにBGMとして聴く時に、iTunesにあるプレイリストで聴くことが多いものです。

しかし、じっくりと過去を振り返ってみると、お金を払って出かけた演奏会で、モーツアルトの作品を観たことがあるのはごく僅か。。。
星の数ほどある音楽作品の中で、クラシック音楽もかなりの数があるワケで、自分の場合、チャイコフスキーやドボルザークの時代以降の作品を演奏するコンサートに出かける機会は多いというのもあるのですが、よくよく考えてみると、モーツアルトの楽曲自体が、思ったほど多くは、演奏会の中で採り上げられていないような気もしたり。。。

・・・とは言っても、改めて思い出してみると、私が好きな作品はかなりあって、今後、機会があったら積極的に演奏会に出かけてみたいと最近思うようになってきました。

最初に観に行ってみたいのが、このピアノ協奏曲 第23番。
モーツアルトが手がけたピアノ協奏曲は全部で27曲。その中でも私が特に好きな作品です。

第1楽章は、いかにもモーツアルトと、すぐに分かるような美しい旋律。ピアノだけが前面に出るのではなく、オーケストラとの掛け合い、ハーモニー、特に、弦楽や木管の音色の美しさが大好きです。

第2楽章は、上の動画では[11:20] あたりから始まります。
単独で聴くと、え?これモーツアルトの曲だっけ?と思ってしまうような曲。
実は私が大好きな「シチリアーノ」のリズム(8分の6拍子)がベースとなっています。哀愁を帯びながらも、優しく、情感に訴える美しい旋律は、私にはまるでセレナーデのようにも受け取れます。

第3楽章は、上の動画では[17:52] あたりから始まります。
あれ、さっきまでしんみりしていたのに、ケロっと突然の復帰のピアノの旋律。
戸惑うヒマもなく追いかけるオーケストラ。
めまぐるしく展開するピアノとオケとの対話。
なんだかんだでモーツアルトの楽曲の魅力にどっぷりとハマってしまい、
やっぱりモーツアルトはいいわ~!安心するわ~!と思わせてくれる作品です。

さて、メランコリックな第2楽章は、1989年に亡くなる前の、80歳を超えた名手ウラディミール・ホロヴィッツによる演奏が、とても感動的でした。

IMSLPプロジェクトによる楽譜の参照、入手(PDFファイル)はこちらから

パガニーニ ヴァイオリン協奏曲第2番 第三楽章「鐘のロンド」


ヴァイオリンの超絶技巧奏者として名声を誇ったイタリアのニコロ・パガニーニ(Niccolò Paganini:1782-1840)はヴァイオリンだけでなく、ヴィオラ奏者、ギタリストであり、作曲家として多くの作品を産みだしています。

盗作が横行した当時の事、楽譜は演奏会の数日前にようやく配布し、演奏後、楽譜はすべて回収した徹底ぶり。死の直前に楽譜のほとんどを焼却してしまったこともあって、現存している楽譜は、彼の演奏を実際に聴いた人たちによって譜面として書き起こされたものがほとんどだそうです。

ヴァイオリン協奏曲は、実際には12曲書いたようですが、現在でも世に伝わる楽譜は6曲。
その中でも第2番は有名で、特に第三楽章は「ラ・カンパネラ=鐘」、「鐘のロンド」として親しまれています。
もちろんヴァイオリンの超絶技巧のオンパレード。

当時、「パガニーニの演奏技術は、悪魔に魂を売り渡した代償として手に入れたものだ」とまで言われたほど。
実際、私が子供の頃、この第2番を演奏会でホールの前から5列目くらいの席で初めて観た時、あまりの凄さに、呆気に取られたとを鮮明に覚えています。

パガニーニの曲の中に出てくる超絶技巧には、まるでヴァイオリンが歌っているように感じてしまうことが多々あります。まるでイタリアオペラを観ているように。

パガニーニの演奏会を訪れたピアニストのフランツ・リストが感銘を受けて「自分はピアノのパガニーニになる!」と言い、超絶技巧の腕を磨いたということは有名な話。

そんな事もあってか、この「ラ・カンパネラ」を「パガニーニによる超絶技巧練習曲集の第3曲」、「パガニーニの「鐘」による華麗な大幻想曲」、「パガニーニによる大練習曲」としてアレンジした作品を遺しています。

次の動画は、幼い頃から神童と評され、現在でも世界的に活躍しているEvgeny Kissinによる「リスト:ラ・カンパネラ」です。

私が5年に1度くらい、気まぐれでピアノで弾く”なんちゃって”ラ・カンパネラは、右手高音部を割愛したもの。とても他人に聴かせられるものではありませんが、リストのバージョンではなく、「パガニーニ – (自分の名前)ラ・カンパネラ」とした大いなる変奏曲としてしまえばいいのですね(苦笑)

この他にも、パガニーニによる楽曲はブラームス、リスト、シューマン、シュトラウス、ラフマニノフなど数多くの作曲家に大きな影響を与え、その主題による変奏曲やアレンジした作品が数多く創られています。

IMSLPプロジェクトによる楽譜(PDF)の参照、入手はこちらから

シューマン ピアノ協奏曲 イ短調作品54

ジャン!というオケヒット。

いきなり奈落の底に突き落とされるように、悲劇の始まりを彷彿とさせながら下降するピアノの音。

それに続いてオーボエによる甘美なメロディ。まるで対話のように同じ旋律をピアノが奏でる。

不安を煽る衝撃的な始まりで、いきなり心をつかまれてしまう。。。

クラリネットとのかけあい、フルートやオケとのかけあいがありながらも、随所で登場するオーボエとの対話が、私にはシューマンと奥様クララとの物語のように思えてしまいます。

シューマンはピアニストを目指して著名なピアノ教師フリードリッヒ・ヴィーク氏に18歳で弟子入り。
恩師にはクララという天才的少女ピアニストとして脚光を浴びた娘がいて、やがて二人の間には恋愛感情が生まれ、婚約をしたもののフリードリッヒの逆鱗に触れてしまい交際を禁じられてしまう。

二人は訴訟まで起こしてようやく結婚。シューマン30歳、クララ20歳という10歳の歳の差。

シューマンが唯一、世に向けて遺したこのピアノ協奏曲は、シューマンが35歳の作品で、妻クララのピアノで初演されたそうです。
実はこの第一楽章は「ピアノと管弦楽のための幻想曲」として、ちょうど二人が結婚することができた頃に創られた曲。その後新たに第二楽章と第三楽章(休みなく続けて演奏されています)を書き加えて完成させています。

まるで紆余曲折で波乱に満ちた二人の愛がようやく成就したように、ハッピーエンドを迎えるこの曲。
演奏会で聴くのがいつも楽しみになる、曲のひとつです。

当時のピアノ協奏曲のスタイルは、あくまでもピアノがメインでオーケストラは従属的なものでしたが、この曲では両者が引き立て合いながら音色としても調和が取れたものとなっているように思われます。
その点ではラフマニノフのピアノ協奏曲に大きな影響を与えたのではないだろうか?と勝手に思っていたりします。

楽譜は国際楽譜ライブラリープロジェクトからPDF形式のものが入手可能です。

ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲 第18変奏

パガニーニのヴァイオリン曲『24の奇想曲』第24番「主題と変奏」の「主題」を用い、24の変奏曲により構成。実質的にはピアノ協奏曲といってもいいかな?・・・ということでカテゴリーは「協奏曲」に入れてみました。
その第18変奏(Andante cantabile 変ニ長調)は映画の中で使われたり、テレビCMやBGMなどでも用いられる有名な部分。

ピアノのソロから始まり、受け継ぐオーケストラとのかけあいによる美しい旋律は、とても感動的です。

全曲の演奏の模様はYouTubeで「Rhapsody on a Theme of Paganini」で検索すると多数見つかります。

楽譜はこちらの国際楽譜ライブラリープロジェクトからPDF形式のものが入手可能です。