ドボルザーク – クライスラー:スラブ幻想曲


ドボルザークによる2曲の美しい原曲を、ウィーン出身のヴァイオリニストであるクライスラーがアレンジした「スラブ幻想曲」(Slavonic Fnatasy)。

前半部は、ドボルザーク「ジプシー歌曲集」(作品55番)の第4曲の「Songs My Mother Taught Me」(我が母の教えたまいし歌)、後半は、同じく「ロマンティックな小品」(作品75番)の第1曲で構成されています。

ソプラノの独唱による「Songs My Mother Taught Me」が、これまたいい曲で、演奏会とかで間近で歌われた日には涙ちょちょ切れモノでございます。

このピアニスト「Daniel Barenboim」がまたイイ味を出しておりまして、私はこのように歳を取りたいものだと思っているところです。

「ロマンティックな小品」はと言いますと、優雅な旋律の中に、時折のぞかせる憂いの表情が一層の美しさを引き立てるような、優美な曲。

これら2つの名曲を、ヴァイオリニストならではの豊かな表現力で、新たな価値として蘇らせたこの楽曲。
「編曲」の素晴らしさを教えてくれる、名作の一つだと私は思っています。

IMSLPによる楽譜(PDF形式)はこちらから参照、ダウンロードが可能です。

ドボルザーク 交響曲第8番 第三楽章

第一楽章 – [0:06]
第二楽章 – [9:57]
第三楽章 – [21:28]
第四楽章 – [27:05]

1889年に、チェコ プラハ郊外の自然豊かな村で書かれたドボルザーク 交響曲 第8番。

重々しいチェロの旋律に続いて、朝もやの森の中の中から聞こえてくる鳥のさえずりのようなフルートのソロ。この曲の中では随所にチェコの美しく穏やかな田園風景が浮かんできます。

この曲が生まれた当時、チェコ(当時はボヘミア)を含む中東部ヨーロッパは、ハプスブルク家の君主によって支配され、オーストリア=ハンガリー帝国に属しており、独立を求めて民族運動に揺れ動いていた時期。そんなご時世ということもあってか、勇ましい曲調も随所に見られます。

スラブ的・チェコ的な民族舞曲・民謡などを積極的に取り入れ、民族的、郷土愛に溢れたこの作品の中でも、特に美しい旋律で有名な第三楽章。

激動の時にあっても、ヒトは恋をし続ける・・・というふうに、私は受け取っています。

憂いに満ちたワルツ風のこの舞曲を聴くたびに、美しい貴婦人の姿が目に浮かんでしまいます。

恋心を抱いてしまいつつも、立場上、自分の想いを伝えることも、そのような素振りさえできなくて。。。

しかし彼女はいつも屈託のない美しい笑顔で接してくれる。。。

「うぉぉぉ~!好いたらしいぃぃぃぃ!」

こんな美しい旋律、恋をしていなければ書けるわけがない!!・・・と思うのは私だけでしょうか?

この曲も、ピアノの連弾バージョンがYouTubeに載っています。

そういえば、初めてこの曲を聴いた時、家に帰ってピアノで弾きまくった、衝撃的な出会いだったのでした。

各種楽譜は国際楽譜ライブラリープロジェクトからPDF形式のものが入手可能です。

ドボルザーク スラブ舞曲 第二集 作品72番 第2番

「ああ、なんて好いたらしいぃヒト・・・」

狂わしいほどに萌えたぎる熱情を抑えられない程に惹かれ合う、男女の物語を彷彿とさせる舞曲。
英語表記だとDvorak Slavonic Dance op.72, no.2」。

第一集、第二集共に8曲ずつで構成されているこのスラブ舞曲、第一集からの通し番号で表記されることもあって、その場合第10番ということになりましょうか。

憂いを帯びた主題の旋律は、まるで禁断の二人の関係を表しているよう・・・

陽だまりの中でイチャついている間、つかの間の幸せを感じていられるんだケド、すぐに現実に引き戻される二人・・・

・・・などと、勝手な解釈で聴いて、そんな感情を込めながらピアノ、バイオリン、チェロを弾いたりして、独りでそんな想いに浸るようになったのは最近の事。
どうやら狂おしいほどの熱情に飢えているようでございます。(^_^;;

もともとこのスラブ舞曲、第一集ではピアノの連弾向けに創られ、後から管弦楽編曲に着手されたものだそうです。

こちらのリンクのように、男女二人による官能的なピアノの連弾バージョンもYouTubeで見つかります。ピアノ好きにはたまりません。

さらに指揮:小澤征爾、バイオリン:ペリマン、チェロ:ヨーヨーマによる競演は、サブイボ必至!

ドボルザークは数多くの美しいフレーズを遺していますが、その根底にあるのは、この曲のようなボヘミアの民族舞踊にあるような気がしています。

楽譜はこちらの国際楽譜ライブラリープロジェクトからPDF形式で入手可能です。

ドボルザークといえば「国民楽派」の代表的存在。19世紀中頃から20世紀にかけて、同じチェコ出身のスメタナやノルウェーのグリーク、フィンランドのシベリウスなど、民族主義的な音楽を創った作曲家を称しています。

交響曲第7番 第三楽章のスケルツオのチェコの民族舞曲フリアントのリズム、交響曲第8番のワルツのような美しい旋律は、それまで、音楽の中心となっていたイタリア、ドイツやフランスなどの伝統的な音楽とは違った、自分の国に伝わる民謡や様式を使って曲を書いたことで生まれてきたのでしょうね。